ウェブサイト(ホームページ)を用いた営業活動を始めてみたものの、数ヶ月以上が経過した後に「依頼にはほとんど繋がっていない」「めったに反応がない」という結論に至りウェブからは手を引いてしまう。
あるいは「もっとウェブ営業を活性化したいのに、なにが原因で依頼まで至らないのかよくわからない」と困惑してしまう。
そのようなときは、ウェブサイトから依頼に至らない理由は何なのか、段階ごとに切り分けて確認すると問題点に気づきやすくなります。
ウェブ上の検索から受任までの段階
士業事務所に業務を依頼する人は、まずGoogleなどの検索サイトを用いて悩みに対する回答を検索し、その後、回答を得られそうなウェブサイトを訪問、そしてウェブサイト上のページを移動して、移動後のページから問い合わせを行い、問い合わせ後に士業事務所からの反応を待って、士業事務所の反応から実際の面談へ、面談後に依頼の意思決定と、受任に至るまでに多くの段階を経ることになります。
ウェブサイトを用いた営業は、この訪問者が辿る各段階にわけて考えることで、どの段階に問題が生じているから依頼に至らないのか原因究明がしやすくなります。
1.検索サイトでの検索段階
まず第一は、何らかの不安や悩みを解消したい人が、Googleなどの検索サイトで悩みや不安、希望を検索ボックスに入力して解決方法を模索している段階です。
この段階に問題があるかどうかの切り分け方法は、ずばり「検索サイトからウェブサイトに訪問者が訪れているのかどうか」です。これはアクセス解析を見れば一目瞭然です(この部分はGoogle AnalyticsではなくSearch Consoleで確認するほうが状況を把握しやすいかもしれません)。
もしアクセス数が極端に少なければ、コンテンツとしてウェブサイト内で公開するページの増加を検討する、あるいは手間をお金で買うのであれば、リスティング広告を活用してみることで改善を図ります。
既に公開している記事数がそれなりに存在しているなら、記事のタイトルやディスクリプション、冒頭の書き出し文などを見直すことも効果的です。
2.ウェブサイトを訪問した段階
第二段階は、検索結果からウェブサイトに訪問した直後の段階です。
ここに問題があるかどうかの切り分けは他の段階より把握が少し難しいのですが、これもアクセス解析を確認して「直帰率」が高かったり、1人あたりのページ閲覧数が少なかったり、滞在時間が短かったりすることで確認できます。
改善方法も他と比べて「ここだ!」と言い切れるものではないため、ヘッダーで用いている画像を変えてみたり、ナビゲーションをわかりやすくするなど、訪問してすぐ帰ってしまう要因を探って修正することになります。
3.ウェブサイト内でのページ移動の段階
第三段階は、ウェブサイト内でページを移動し、閲覧している段階です。
この段階で依頼に至らない要因となるのは、訪問者に最終的に起こしてもらいたいアクションの提示がわかりやすくなされていないこと(お問い合わせバナー直前の誘導や、バナー自体に書かれている文言に注意)や、不安解消が行われていないことが考えられます。
- 「他の人も利用しているのかな?」
- 「私の場合も、ここに相談していいのかな?」
訪問者が抱くこの2つの不安に対して、しっかりフォローできているか再確認です。
4.問い合わせのメール・電話の段階
第四段階は、ウェブサイトの訪問者がお問い合わせのメールを送る段階、あるいは問い合わせの電話をする段階です。
アクセス解析を見ると、お問い合わせのページまで移動している人はいるものの、問い合わせのメール自体は送られてこない。あるいは、電話は鳴るものの、直接の相談までには至らない。
この段階で依頼に至らない要因となりがちなのは、お問い合わせがメールであるならお問い合わせフォームの入力項目の多さです。後でヒアリングすれば済むことは、極力フォームとして設けないようにして、最低限の内容に絞ります。
また電話はスタッフが受けているものの、直接の相談を希望するまでには至らないという場合、電話で案内する内容の言い回しを変えることで士業さんが直接に折り返すなどが可能であれば、それによって直接相談を取り付ける確率が上がることもあります。
5.問い合わせ後の連絡待ちの段階
第五段階は、訪問者の反応後、士業からの連絡待ちの段階です。
メールや電話はあるものの、士業事務所から返答をしたとき「もう他に頼んでしまいました」と言われることが多かったり、メールの返信が返ってこないことが多いなら、反応が他事務所よりも遅いことが要因として考えられます。
この点は、士業のウェブ営業では対応速度が受任率を大きく左右するで詳細に触れましたのでご参照ください。
6.士業事務所からの連絡の段階
第六段階は、士業事務所から依頼見込者に対してメール・電話で連絡する段階です。
事務所側から返答をしたり、電話を折り返して話しをしてみるものの、直接相談まで至らないというときは、前述の対応速度を除けば
- 返答内容が不明確(聞かれたことに答えていない)
- 信頼感に乏しい(「のはず」「と思う」など語尾が曖昧)
- 対応が横柄(怖い、暗い、冒頭で「はい」しか言わず名乗らない、など)
のいずれかの可能性があります。
ここまでくると直接にはウェブサイトの問題ではなくなりますが、「ウェブサイトから依頼に至らない」という場合、原因はウェブサイトではなく紹介者のいない全くの新規客に対するフォロー不足という可能性も大きいです。
7.士業との直接相談の段階
第七段階は、士業さんとの直接相談までこぎ着けた段階です。
この段階も第六段階同様、ウェブサイトの問題ではない可能性が高いのですが、相談者の層がどうも考えていた層と異なる(取り扱っている業務と微妙にずれている)と感じられるときは、ウェブサイトのコンテンツに問題があることも考えられます。
この場合、本来相談をしてもらいたい層に対して、より訴求する内容でコンテンツの組み直しを図ることになります。
8.依頼の意思決定の段階
第八段階は、直接に相談した人が、依頼の意思決定をする段階です。
直接相談まで至っているにもかかわらず依頼には至らないという状態は、事務所に対する信頼感をはじめ、相当大きな問題を孕んでいる可能性があります。(業務の内容上、直接相談からの依頼率がどうしても低くなる業務は除きます)
この段階の改善は、相談者に対する不安解消や、事務所、士業自身の印象など、いまいちど全体を見直すことになります。また、直接相談してみたら思っていた以上に料金が高かった、ということもあるかもしれません。ウェブサイトに目安の料金を載せることで、訪問者が戸惑う可能性を下げられます。
ほかにウェブサイトと絡んだ要因としては、ウェブサイトは大手士業事務所の雰囲気が強く感じられるものであにもかかわらず、実際に相談へ赴いたらこじんまりした個人事務所だった…というギャップによる違和感が、意思決定を阻害している可能性もあります。(逆もまた然りです)
心当たりのある場合は、ウェブサイトと現実の事務所間のギャップ調整を行いましょう。
各段階に応じて、異なる対応策が求められる
以上のように、「ウェブサイトからの依頼が来ない」原因は、各段階に応じて全く異なる原因が引き起こしているため、それぞれの段階に応じた修正・対応が求められます。
後半、ウェブサイト訪問者からの反応があってから以降は、ウェブの問題というよりも事務所の対応に関する問題が第一に考えられます。そうなるとウェブ営業の問題ではあるものの、修正点はウェブ上にはないことになります。
ほかには、直接相談に至ったもののどうも意図する客層とは異なる気がする、または相談だけで依頼に至らない客層が多いと感じられる場合は、別ブログでも士業の「ホームページからは変なお客さんしか来ない」の原因として触れていますので、こちらも合わせて修正の参考にしてみてください。
士業ホームページ改善チャート
最後に。この記事で説明した段階を士業事務所さんの側で生じている問題点から切り分け、それぞれに主な対策方法を添えたPDFを用意しました。上記画像をクリックでファイルをダウンロードできるので、貴事務所の改善にお役立ていただければ幸いです。
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