士業事務所でウェブサイト(ホームページ)を営業ツールとして活用するなら、ウェブサイトで告知する業務の規模、緊急性、地域性を制作段階から意識しておくと効果的です。
特に開業当初に業務内容ごとのウェブサイトを制作していく場面では、それぞれのウェブサイトにおける3つの要素が被りすぎてしまうと、事務所運営的には資金繰りの難が生じやすくなることも考えられます。
その意味では、事務所運営を軌道に乗せる前であるほど重要度が高い要素です。
ウェブサイトで取り扱う業務の規模
まず第一に意識したいのは、ウェブサイトで受任を目的とする業務自体の規模(仕事を終えるまでに要する日数)が、どれくらいのスケールかという点です。
業務の規模が大きいものほど、入口部分で単なる相談や打ち合わせが多くなり、実際にその案件が動き出すまでに日数を要します。また業務が動き出してから、つまり正式に受任して以降も業務自体に手間や日数を要するため、完了までの期間が長いものとなります。
従って、特に開業当初は規模の大きな業務を取り扱うウェブサイトのみに絞るのではなく、入金までのサイクルが短くなる業務規模の小さなウェブサイトと並行して制作し、同時に公開するほうが相互補完となるため無難です。
「この業務を主力としたいから」「この業務がメジャーであるから」という理由だけで公開するウェブサイトを検討していくと、そのウェブサイトが成果を上げる前に資金繰りが悪化してしまう危険があるためです。
ウェブサイトで取り扱う業務の緊急性
次に意識したいのは、業務を依頼する側の緊急性です。緊急性の高い業務は、ウェブサイトの訪問者に「とにかく今、その問題を解決しなければならない」という状況が生じています。
そこで、一見しておかしなサイトでない限りは、問い合わせの電話対応さえ不愛想だったり不親切だったりしなければ、受任に至る可能性は比較的高めです。
逆に、訪問者の側で「今、すぐ相談しなければならないわけではないが、そのうち何とかしないと何時か困ったことになる」くらいの緊急性しか生じていない業務は、ウェブサイトから依頼を得るまでの期間、相談から受任までの期間とも、大幅に長くなる可能性が高いです。
従って、これも開業当初は、緊急性の低いウェブサイトだけに絞るのではなく、緊急性の高い業務のウェブサイトと並行して制作、公開するほうが、事務所運営的には相互補完の関係として機能しやすくなります。
たとえば行政書士、司法書士、税理士、弁護士など、関係する士業資格の多い相続・遺言・後見的な分野は、競合するウェブサイトが多くなるだけでなく、概して緊急性の低いものが多くなりますので、特に考慮する必要があるでしょう。(緊急性の高い一部の相続分野を除く)
ウェブサイトで取り扱う業務の地域性
もうひとつ意識しておきたいのは、ウェブサイトから受任を予定している業務の地域性です。よりわかりやすく言い換えると、あなたの事務所にその業務を依頼する可能性のある人が、その業務に対してどのくらいのエリアで絞って検索をかけてくるかということです。
この地域性を誤ってウェブサイトを作ってしまうと、GoogleやYahoo!等の検索サイトからの訪問者が無に等しい状態に至ります。そのため、地域性については公開前の段階で十分な検討を要します。
ここで注意しなければならないのは、ウェブサイトの地域性を検討する際、大事なのはウェブサイトを設置して業務を進行させる士業の側がどれだけの地域に対応できるかではなく、あくまで検索サイトで語句を入力し、訪問する人の側が、その業務にどれくらいの地域性を感じるかという点です。
極端な話、士業さんの側でいくら「この業務は全国から依頼が来ても対応可能だ」と考えても、訪問者の側で悩みや困りごとが生じて検索するとき、同じ都道府県の事務所、または同じ市区町村の事務所に依頼することしか想定しないのであれば、全国対応のウェブサイトを作る意味は非常に乏しくなります(地域をできるだけ絞ったほうが、訪問者により合致感や共感を得てもらいやすいことから受任率も上がります)。
業務の持つ地域性が、都道府県か市区町村かの判断は慎重に
ところでウェブサイトで取り扱う業務の地域性については、都道府県レベルのものなのか、市区町村レベルのものなのか、この2つの間で見当違いを起こしやすいので要注意です。
市区町村レベルの地域性を持つ業務に対して、都道府県レベルの地域性を設定してウェブサイトを制作した場合、他にリスティング広告をかけたり、ページ数がかなり増えて自然検索からの依頼が増えるなどしない限り、反応は極端に乏しいものとなります。
一方、都道府県レベルの地域性を持つ業務に対して、市区町村レベルの地域性を設定してウェブサイトを制作すると、反応はまあまあ、あるいはたまにある程度は生じますが、本来それより数倍、十数倍の規模で受任できた可能性を逃してしまうことになります。
開業当初だけでなく、次の新たなウェブサイトを作るときも意識
以上のように、ウェブサイトで取り扱う業務の規模、緊急性、地域性という3つの要素は、開業当初においては特に意識するようにして、できる限りばらけたウェブサイトをいくつか用意する。または、まず業務規模が比較的小さく、緊急性の高い業務からウェブサイトをそろえるようにしていくと、事務所の資金繰りという面においては固定費等が賄いやすくなります。
そしてこれら3要素は開業当初だけでなく、事務所運営がある程度軌道に乗った後、新たな業務特化型ウェブサイトを追加する場面においても、意識するほど効果的なウェブサイトを構築・運用することができます。
ウェブサイトに用意する画像や文章などのコンテンツに関しても、その業務の規模や緊急性、地域性、それぞれを考慮しながら制作、配置するほうが、結果として訪問者の反応を得やすいからです。
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