前回、訪問者側の悩みや希望からできるだけ始めることを基本型とし、「お任せください!」といった士業側からの主張は極力後回しにするという内容でコンテンツの配置順を検討しました。
そこで触れたおすすめ配置パターンは、あくまでウェブサイト(ホームページ)からの直帰率や離脱率を下げるための施策です。
お問い合わせの電話やメールといった士業のウェブサイトの最終的な目的を一定程度以上に達成できるなら、パターンの配置自体は絶対ではありません。
大事なのはウェブサイトの構造や流れ、部品1つに至るまで、その方法(や部品)を配置・採用する理由や考えが裏にしっかりあるかどうかです。
訪問者の悩みや希望から入らない明確な理由があるか
士業事務所のウェブサイトを「お任せください!」から始まるキャッチコピーで制作するとき、そこに何らかの意図や考えが含まれているでしょうか。どちらかといえば、単にそれが作りやすいからとか、キャッチコピーを考えるのが面倒だからという理由で採用されていることがほとんどではないでしょうか。
通常、ウェブサイトは訪問者が検索サイトで入力した検索語句や、その前提となる悩み、希望と直結するキャッチコピーを冒頭に設置するほうが、合致感を持ってもらいやすくなります。
そのため、あえて士業事務所さんが「お任せください!」と主張するコピーからウェブサイトの流れを始めるなら、そうしなければならない理由があるのが前提になります。
士業ウェブサイトを「お任せください!」型の導入で制作する理由
では、あえてこのキャッチコピーをウェブサイトの導入とする理由は、具体的にはどのようなものが考えられるでしょうか。
士業とひとくくりに表しても資格は様々ありますし、また各士業が取り扱う業務内容も多々分かれます。
具体的な理由は各士業、各業務でそれぞれ違ったものになるはずですが、その中でも比較的典型的なパターンとして考えられる理由を、いくつか挙げてみましょう。
リスティング広告を組み合わせて急ぎ案件を獲得するとき
第一に考えられる理由は、急ぎ案件の獲得を目的とするウェブサイト、または急ぎ案件となりやすい業務を取り扱うウェブサイトの場合です。
このようなウェブサイトでは、自然検索だけではなく、リスティング広告も組み合わせてウェブ上の営業を展開することが多くなりますが、訪問者の属性が「急ぎ客」であるため、余計な説明を省き、士業が何を実現して訪問者の手間を省いてくれるのか、端的に表現してしまうほうが早いケースも出てきます。
ただし、この理由で「お任せください!」からの導入を図るのであれば、本当にそれがベストであるか、思い込みではないことを確認する意味で、異なるキャッチコピーを用意してA/Bテストを行ってみるのも一計です。
士業以外の(資格に関わらない)ビジネスや経歴を全面に打ち出すとき
次に「お任せください!」型のキャッチコピーを使うケースとして、士業が資格に関わらないビジネスを展開しており、そのビジネスを行っていることが士業の長所として機能する場合、または士業が独立以前に勤めていた会社などの経歴が、ウェブサイトで取り扱う業務と密接な関係がある場合が考えられます。
つまり、資格以外のビジネスや経歴がその人物の個性を浮き立たせるため、業務を依頼してもらう上での安心材料として強く機能するパターンです。
また士業とは異なる分野だけでなく、士業自体の業歴が長く、ウェブサイトで取り扱う業務の実績が競合ウェブサイトと比較して明らかに秀でている場合も、この型を使うメリットが考えられます。
ひとつの業務分野をさらに切り分けて差別化を図るとき
また、現状で一般的な業務とされている分野について、さらにその中の一部を切り分けて差別化を図るウェブサイトを作る場合が考えられます。
このような業務の一部を切り出すタイプのウェブサイトでは、その切り口で公開されている競合ウェブサイトがほとんどない状況であるため、特殊な分野の開拓者(専門家)として「個」が浮き立ち、お任せください型に持っていきやすいことがあります。
ただし、業務を分離させた当初はそれ自体がウェブサイトの個性づけとなりますが、かならず追従するウェブサイトが増えてきます。後々のことを考えれば、さらにキャッチコピーをひねることができないか、あらかじめよく考えておくべきです。
大都市、大型ターミナル駅などに近い立地の事務所
大都市、大型ターミナル駅などに近く、訪問者の検索語句に事務所を設置している地域名や駅名が入ってくることが多いケースも、「お任せください!」型のキャッチコピーが有効に機能することがあります。
このケースは、どちらかといえば業務内容を重視して展開する業務特化型のウェブサイトよりも、事務所としての安心感を提供するタイプのウェブサイト(事務所自体のコーポレートサイトを含む)で活用しやすいです。
訪問者が、既に「大きな都市の大きな事務所に任せたい」と思って検索してくる傾向にあれば、「お任せください!」を採用する方法もアリです。
訪問者の立場からコピーを作ると別の意味になってしまうとき
士業の主張から始めるケースとしては、本来ならウェブサイトへの訪問者(お客さま)の側からキャッチコピーを作りたいところ、訪問者側の悩みや希望をそのままコピー化してしまうと、別の意味や業界を表すことになってしまう場合なども挙げることができます。
※このケースは、具体例を挙げないといまいち伝わらないかもしれませんが、具体例を示すとウェブサイトを特定してしまいかねないため、ここでは省略します。
このようなときは、次善の策として士業側の主張から導入部を作っていくことになります。
「お任せください!」型キャッチコピーを使うときの一工夫
上記で説明したように、「お任せください!」型のキャッチコピーをウェブサイトの導入部(ヘッダー部)に配置するときは、その意味があるのか十分に検討が必要です。
その結果としての「お任せください!」型キャッチコピーであるなら、その過程において検討した理由そのものも、訪問者が興味を抱く内容となっているはずです。
「うちの事務所は、お任せください型のほうがよさそうだ」
検討した結果、上記の結論に達したのであれば、なぜお任せいただくメリットがあるのか、理由づけも合わせて、訪問者にわかりやすいようにヘッダー画像(ウェブサイト上部のメインとなる画像)へ配置してしまいましょう。
理由を配置するときにも「流れ」を意識する
ただし、この場合にもさらに一工夫が大事です。
「お任せください!」から理由へそのまま流してしまうと、士業さんの主張のみがかなり強くなってしまいます。
- 〇〇はお任せ下さい!(大きな文字サイズのキャッチコピー)
- 〇〇の実績多数。(理由)
(あるいは)〇〇出身の士業が対応!
ドコドコ駅徒歩1分でアクセス便利!
そこで、たとえば1と2の間に、訪問者側の動向を挟むようにすると、以下のように流れがスムーズになり、また他の人も同じように利用しているのだという安心感にも繋げることができます。
- 〇〇はお任せください!
- 当事務所は、これこれこのようなお客さまに多くご利用いただいております。
- ご利用いただいている理由(実績が多数あり、スムーズな対応が可能など、いくつかの理由)
今回は以上、「お任せください!」型のキャッチコピーで士業ウェブサイトの導入部を作ることについてでした。
前回の4段階パターンのほうが反応を得やすいケースが多いとは思いますが、環境や取扱業務に合わせて、より事務所の状況に合ったウェブサイトの構成を検討してみてください。
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