士業事務所のホームページ(ウェブサイト)に「迅速・丁寧に対応致します」など、当たり前のことをコピー化・文章化することに対しては、
- 「そんなことは当たり前だ」
- 「それくらいしかアピールするポイントがないのか」
などと、第三者から(特に他の同業事務所から)嘲りの対象となることがあります。
けれども、当たり前のことにあらためて気が付いて、それをわかりやすく表現できるかどうかというのは、やってみると意外と難しいことだったりします。そしてウェブ営業では、それが結構大事な要素になったりもします。
ウェブサイトに当たり前のことを表現する理由
その理由は、よく言われるように
といった意味もあるかとは思いますが、ここで触れたいのはその意味ではなくて、
という理由のほうです。
ウェブサイトの情報だけから判断する人へのフォロー
たとえば何らかの困りごとに直面し、ウェブで新たに士業事務所を探す人は、まったくもって士業という職業とコンタクトを取ったことがない人も多いです。
そして一方で、いま既に付き合いのある士業に対して何らかの不満を持っている、という層も一定割合で含まれてきます。
そのような人(会社)にとって、迅速に対応してくれる事務所であること、丁寧に対応してくれる士業であることなどが、当たり前ではない状況が現に生じているわけです。
当たり前を求めてネットを検索する人
このあたりはしばらく事務所を運営していると、直接的にしろ間接的にしろ、相談の際にそんな話が出ることが多くなるはずです。肌で感じている士業さんも、少なくないのでは。
- 「いま頼んでいるところが、仕事をお願いしてもなかなか進めてくれない」
- 「留守電にメッセージを入れても、返事が返ってくるのが一週間後だった」
- 「仕事を頼んだのに、完了したのかしてないのか連絡がないのでわからない」
- 「依頼した業務は完了しているようだが、何をどうしたのか説明がない」
- 「いつも頼んでいた事務所が、何の連絡もなく遠くへ移転していた」
上記のような不満を持って、お世話になる士業事務所を変えたい、あるいは変えざるを得ない状況でウェブ上から新たな相談先を探す人は、当たり前のことを当たり前にやってもらえるということも、求めている要素の一つに入ってきます。
このような層に対しては、それを具体的に記載しているウェブサイトというだけで、選択肢に入る可能性が幾分高まります。
つまり、当たり前のことを書くだけでも、差別化が図れるということです。
実際、「こちらの事務所なら、迅速に対応していただけると思ったので」という理由で、ご依頼になるケースも稀ではありません。
スペースが許すなら「なぜ」「どのように」に触れておく
ウェブ上の小さなスペースなら、「迅速・丁寧に対応!」的な短いコピーで埋まってしまうかもしれません。これだとあまりにも当たり前すぎて目につかないかもしれませんが、そのときは仕方ないです。
ですが、もう少しスペースを取れるようなら「なぜ」迅速に行えるのか、「どのように」迅速に行うのかなど、その理由や手段について、少しだけでも具体的に触れておくと、コピー・文章が貴事務所の差別化として機能しやすくなります。
無理やりの理由づけはバレるし、恰好悪い
ただし。だからといって無理やり理由を作るのは、訪問者もその点を疑問に思ってしまうので逆効果です。
また価格面に関しては、単に価格競争に巻き込まれているだけにもかかわらず「当事務所は、○○の理由でコスト削減が可能となりました」と苦し紛れに主張するのも、同業者からすれば内情が透けて見えますから、なんとも恰好悪い印象ばかりが強まります。
当たり前のことを表現し、そこに理由を付記するにしても、経営理念や事業の努力によって、本当に実現しているもののみに限るべきです。
小さなことの積み重ねが、大きな違いに
大幅な差別化を期待できる特徴や能力を持つ人なら別ですが、そうでなければ、小さなことをコツコツと、チマチマと、積み重ねて総体で差別化を図るしかありません。
結局のところ、地道な1円貯金を延々と続けることができれば、長期的にはそれが大きな財産・アドバンテージとなって積みあがっていきます。アナログでも、ウェブでも、この点は変わりません。
「こんな当たり前のこと、書いて意味あるだろうか」、その答えは大抵の場合「意外とある」です。他者の無責任な揶揄や嘲りに惑わされず、地道に改善を図っていきましょう。
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