士業事務所でウェブサイト(ホームページ)を作って公開してみたものの、そこから業務の依頼になかなか繋がらないというときは、いくつかの段階に分けて考える必要があります。
この点については既に記事で触れていますので、下記をご参照いただくとして。
ウェブサイトを閲覧した人から電話やメールでの反応があっても「結局、教えて欲しいという質問ばかりだよ?」という状況であるなら、大きな原因は2つ考えられます。
士業さん自ら「何でも相談室」のウェブサイトを作っているとき
考えられる原因の1つめは、「ちょっと聞きたいのだが」という質問ばかり呼び込むかたちのウェブサイトを、他でもない士業さん自らが作っている場合です。
様々な制度や用語を解説して、電話問い合わせの周囲などに「何でもお気軽にご相談ください」などと記載しているウェブサイトでは、質問電話ばかりがかかってきてもおかしくはありません。というよりも、そういった反応ばかり生じてしまうのが自然とも言えます。
この点についても、既に別の記事で触れているので詳しくはそちらをご参照ください。
質問に答えることに意識が行き過ぎ、依頼の可能性に気づかないとき
2つめの原因として考えられるのが、士業さんの側に「質問されたことに、ちゃんと答えなきゃ」という意識が強すぎて、依頼の可能性に気付かず需要を逃している場合です。
そのウェブサイトの訪問者が依頼を前提に電話・メールでアクションを起こしてくれていても、士業さんの側でそれをくみ取ることができず、会話がすれ違ってしまう。そうなってしますと「質問されただけで終わった」という結論に結びついてしまいます。
どんな風にすれ違いが生じてしまうのか、あくまで例としてですが会話形式にしてみます。
- 訪問者「Aってどういうことですか?」
- 士業さん「Aとは、Bという条件においてはCとなる状態のことです。法律的には何々法の第何条に規定されていて、場合によっては何々法も絡んでくることがあります」
(よしッ、なんとか質問に答えられた。安堵。) - 訪問者「・・・そ、そうなんですか」(なんか説明されたけど、結局モヤモヤ)
- 士業さん「・・・」(単なる質問かな?)
- 訪問者「・・・検討して、またご連絡します!」
ここでは1回だけ質問された形式で会話例を挙げましたが、実際にはいくつかの質問・やり取りがあって、こういった雰囲気で会話が終了してしまうことが多いでしょう。
その質問がなぜ発せられたのか、背後にある不安や悩みに気づけるか
士業さんは質問に答えることで、やり切った感・達成感が生じます。ですが、なぜ訪問者がその質問をするに至ったのか、質問の背後にある不安や悩みまでフォローしきれていないため、訪問者の側には「モヤモヤ」した感情が残ってしまいます。これでは、会話の最後が「検討して、またご連絡します!」になってしまうのも仕方ありません。
このケースはつまり、1つめの原因で挙げたようなウェブサイトが質問ばかりする人を呼び込んでいるという状態ではなく、士業さんの電話・メール対応の結果として「質問する人しか来なかった」という状態を作り出しているケースといえます。
ウェブサイトは業務の依頼を運んできてくれる段階に至っているのに、それに士業(事務所)さんが気付かない、うまくトークを乗せていけないという、なんとももったいない状態です。
「検討します」の電話が多い士業さんほど依頼を逃している可能性が高い
ウェブサイトからの相談で「検討します」という言葉を聞くことが多い士業さんは、「検討しますとか言ってるけど、結局、みんな質問したかっただけかよ」的に考えてしまうかもしれません。
しかし、ウェブサイトの訪問者から発せられた質問の背後にある不安・悩みまで士業さんのフォローが行き届かず、不安が不安のまま、モヤモヤがモヤモヤのまま放置されたことによって、依頼に至っていない可能性が十分考えられます。
開業したばかりの士業さんは相談の場数を踏んでいないため、よりこの傾向が強いです。
資格試験合格から間を置かず実務に携わる場合は正誤に敏感になりがちですし、業歴が浅くまだ場数を踏んでいない状態では「ちゃんと答えられるだろうか」「間違ったことを言ってしまい、変だと思われないだろうか」という意識が強く働きますから、訪問者の発した質問へ答えることばかりに注意が傾いてしまいます。
また、士業さんが事務所の規模を拡大する際、電話応対を新しいスタッフさんに任せるとき、同じような問題が生じてウェブからの受任率が一気に落ちることもあります。
「単なる質問電話だった」「最初から依頼する気が無かった」
この結論づけが、業務を受任できなかったことを肯定するための言い訳になっていないか。普段から「検討します」のひと言をもらっている士業さんほど、検討してみる価値は大きいです。
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