ステップメールを使って訪問者との接点を増やし依頼のタイミング調整を図る

ウェブサイト制作のご依頼と並行して、ここ数年ご依頼をいただく機会が多いのが、税理士さん、社会保険労務士さん、行政書士さんなど、士業さんのステップメールの立ち上げです。

そこで、今回は士業事務所のステップメールについて、その特徴や利点について触れたいと思います。

ステップメールとは

前提として、ステップメール自体をご存知ない士業さんもいらっしゃるかもしれませんので、サラッと説明を。

ステップメールというのは、あらかじめ5通とか10通とかメールの文面を作って配信システムにセットしておいて、ウェブサイトなどに配置したフォームからメール購読の登録をしてくれた人に対して、予め設定した日ごとに設定した順番で(ステップで)メールが自動配信される仕組みのことです。

サイトにフォームを配置して登録者を募る方法のほか、業務を依頼してくれた人に対して、事後にメールでの定期的なフォローを入れたいというときなどにも活用される機会が多いです。

ステップメールは、一度設定してしまえばあとはメールの登録者が出るたび、設定したサイクルで自動発信を続けてくれます。

最初に通数分のメールを用意する手間はかかりますが、そこさえ乗り越えてしまえば、あとの負担がほとんどなく運用できるのがステップメールの長所の1つです。

そしてステップメールは、たとえば配信のサイクルを1通目は登録直後に発信され、2通目は3日後、3通目は6日後など、客層や用途に応じて間隔を調整できる長所も大きいです。

大手企業のメール配信などにも、ステップメールの仕組みが活用されていることは多いです。受け手として、既に利用したことがあるという士業さんも多いかもしれません。

士業ホームページでのステップメール活用

このステップメールですが、士業さんのホームページ(ウェブサイト)でもフォームを設置して運用することで、受任件数のアップにかなり貢献してくれることがあります

前提として、ウェブサイトの訪問者は「そのときだけ」「たまたま」「短時間」訪れたに過ぎず、また周囲には競合事務所のウェブサイトが立ち並んでいることから、よほどの急ぎ案件ではない限りはその場で依頼を決断する(即決する)ことが少なくなっている環境があります。

上記のような環境において、ステップメールを用意して登録してもらうことにより、ごく短期的だった接点を長くすることができるため、訪問者に対するフォローが行いやすくなります。

ウェブサイト単体よりも手厚いフォローができる

また、競合事務所でステップメールの配信が行われていない場合、自分の事務所だけ比較的長いスパンで見込み客との接点を得ることができるため、親近感や信頼感の構築にも効果が期待ができます

文章だけであっても、士業さんの人柄、事務所の雰囲気をそこから感じてもらえるようにすることで、競合事務所より1歩2歩と受任に近づくことができるわけです。

※もちろん、用意するステップメールの文面が、それ相応の内容になっていないと意味がありません。単に士業さんの言いたいことだけ「このサービスはこんなに凄いんですよ!」とか「ウチの事務所は格安価格!」とか、サービスだけ主張して相手の悩みに寄り添わないステップメールでは、チラシを無理矢理送りつけられているのとかわらなくなってしまいます。

依頼のタイミングを調整する効果が大きい

そして接点を長く持つことができると、ウェブサイト訪問者の違ったタイミングにもアプローチできるようになります。これもまた、ステップメールの大きな特徴の一つですね。

何か困りごとが発生して士業さんのウェブサイトに訪問した人であっても、その段階で「すぐ相談したい」と思っているかといえば、そうじゃないこともまた多いです。たとえば仕事中の休憩時間に調べているとか、通勤時間に電車の中で調べているとか、その段階ではアクションを起こしにくいことも考えられます。

そして、訪問者がサイトに訪れた段階では「こういうことに困っている」という思いは頭にあるものの、「この悩みは士業さんに相談すれば解決できるのか」という考えまでは至っていない可能性も非常に高いです。

そこでステップメールを間に挟むことによって、後日「この問題は士業さんが解決できる問題なのか。じゃ、1回相談してみようかな」というタイミングが発生したとき、そこにアプローチをかけることが容易になります

もちろん、ステップメールの組み立てによって、そう意識してもらうような流れを作ることも大事ですよ。

ステップメールと相性のよい業務、相性のよくない業務

手厚いフォローが可能で、士業さんや事務所の雰囲気も伝わりやすく、ここぞというタイミングにアプローチしやすいステップメール。受任率の向上に役立つことも多いので、取り組む価値のある営業方法ではあります。

が、だからといってどんな業務とも相性がよいわけでもありません。

これは想像すればすぐ分かるかと思いますが、「いますぐ!」と急いでいるお客さんの多い業務には、ステップメールはあまり向いていません。「全10回、週1で役立つ情報が送信されますよー!」と呼びかけても、いますぐ、早急に問題を解決してもらいたい人の目には入らないからです。

また、その真逆で「いますぐ解決する必要はまったく無いんだけど、いつかは困りそうだなぁ」くらいのお客さんに対しても、考慮・検討するスパンがあまりに長い可能性があるため、効果が薄いことがあります。

このような場合は、全何回などで配信が終了してしまうステップメールよりも、定期的にアプローチしつづけるメールマガジンのほうが、お客さんのタイミングに合わせやすいからです。

とはいえ後者の欠点は、先にステップメールに登録してもらい、そのままメールマガジンも送られてくる流れを作れば解決します。いわゆる「リスト取り」ができることも、ステップメールの長所の1つです。

ということで、ステップメールを導入して比較的短期で効果がかたちになりやすいのは、「大至急!」でもなく「いつかは」でもなく、「そろそろなんとかしたい」「〇月までにはこういう状況になるから、こうしたい」など、ある程度具体的に動いている客層の多い業務です

まだステップメールを活用したことがないという士業さんなら、このあたりから取り組まれると徒労に終わる可能性を低く抑えられるかと思います。

士業事務所でステップメールを活用するためには?

なるほど、じゃあウチの事務所でもステップメールを活用してみようかな。

そう思われた士業さんが実際にステップメールを活用していくためには、ウェブサイトと同様、まずは配信する仕組みを構築しなければなりません。

ステップメールの仕組みは大きく2つに分類できます。

1つめはレンタルブログなどと同じで、提供されているレンタルのサービス(ASP)にステップメール用のアカウントを作って、そこで配信を始めるタイプです。この方法は、比較的短期間かつ手間が少なく構築することが可能です。Gmailのアカウントを作って.gmailのメールを送受信するとか、アメブロにアカウントを作ってブログを更新するとか、そんなイメージで捉えていただければ概ね合っています。

このタイプのステップメール配信を検討するときですが、各サービスによって配信数の上限や到達率、そして毎月の料金にかなりの差があります。よく比較検討しつつ自分の寺務所規模に応じたサービスを使うようにしてください。

大手企業も使うようなところは一斉に何万件配信可能などを売りにしていることも多く、月額料金もかなり高くなる可能性があります。小規模の配信でそこそこの費用からスタートできるところを選ぶようにしてください。配信数に応じて、プランをステップアップできるサービスであれば、なおベターです

よく利用されているステップメールのサービス

ステップメール配信サービスは多々ありますが、士業さんで使われているというのをよく耳にするのはアスメルです。

私がステップメールの立ち上げに携わらせていただくことが多いのは、ベンチマークEメールです。イラストや写真を配置したHTML形式のステップメールが比較的簡単に作成できるので、士業さんの写真などを配置して親近感を持ってもらう活用に向いています。

ベンチマークは無料トライアルのプランでもある程度使えるので、実際に触れてみて、その後の利用を検討できるのもポイントです。

上記のように配信サービスにアカウントを作って(レンタル的に)ステップメールを利用する仕組みのほか、2つめの配信方法として、ステップメールのシステムを自分のサーバーに導入して利用する仕組みもあります。

こちらは、ウェブサイトでいえばレンタルサーバーを借りて、そこにWordPressなどのシステムを導入してブログやウェブの更新を行うようなイメージですね。

上手く導入した事務所は突き抜けている

ステップメールは、最初に何通もメールを作って仕込まないといけないため、スタートのところが意外と手間がかかって大変です。ですが、一度配信の準備が完了してしまえば、あとは自動的に接客してくれるのでとても便利。

Webサイトばかり目立ってしまい、その後ろで動いているメールのサービスはなかなか把握しにくい面もありますが、この辺を上手く事務所運営のフローに取り入れている事務所さんは相当な効果(おそらくステップメールを導入していない士業事務所さんが抱くイメージのはるか上)を生み出しています

日常の業務に忙しくて、普段はなかなかウェブサイトの更新まで手が回らないなという士業さんは、連休などでステップメールをいっきに仕込んでおくと、後々の集客が楽になるのではないでしょうか。

「その用途だけ」を考えては競合事務所との差が縮まりにくい

で、最後にちょっと付け加えますが、「うちでもステップメールをやろう!」と思い立ったとき、ステップメールのことだけを考えてしまうと競合事務所との差が縮まりにくいです。

何をするにも、「この仕組みを導入する上で、他に別の効果を持たせることはできないか」という視点は持っておくべきです。

私が携わらせていただく場合、ステップメールを登録するためのバナーに使う写真などは、士業さんが講師としてホワイトボードの前に(にこやかに!)立っているものを利用することが多いです。

これは単にステップメールを利用してもらうだけでなく、ついでに「この士業さんはセミナーなども行っていて信頼できそう」というイメージを抱いてもらう意味があります。

ステップメールに関する記事の最後にこう書くのもアレですが、ステップメールなど情報発信を精力的に行っている雰囲気や、そこに掲載されている士業さんの写真を見ることで信頼してもらい依頼に繋がるなら、ステップメールに登録してもらわなくともオッケー。ステップメールはあくまで営業手段の1つに過ぎません。

「ステップメールを作ったぞ!」という満足感、達成感を得られても、それが依頼に繋がらなければ意味がありません。

ウェブサイトの最終的な目的(士業さんの場合はもちろん「ご依頼」ですね)を常に念頭に置きつつ、1つ1つ組み上げていきましょう

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IWAMOTO

代表取締役風デザイン株式会社
士業事務所のウェブ集客・活用のコンサルティングと営業用ウェブサイトの制作に14年超携わっています。 クライアントは行政書士、社労士、司法書士、税理士、弁護士等の士業事務所さんで、日本全国、幅広く対応中。

士業ホームページ制作に関するご依頼・ご相談

士業事務所様のホームページ制作に関するご依頼やご相談の予約は、以下のメールフォームにて承っております。日本全国、出張での相談にも対応いたしますので、ご希望の方はその旨お伝えください(地域によっては交通費が別途かかる場合があります。その際はお見積もりいたします)

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