事務所総合ウェブサイトでも業務特化型ウェブサイトでも、アクセスしてもらうためにはコンテンツの拡充が大事。ということで、ウェブサイト公開後は何らかのページを追加していくことになります。
この際、多くの士業さんは業務の合間でも書き進めやすいネタ、たとえばある制度の概要や専門用語の解説をページとして追加していきます。
しかし、こういった手引き的・辞書的なページは「書きやすいけど依頼に繋がらない」可能性が高く、追加しても追加してもアクセスが増えなかったり、アクセスはなんとか増えても反応がほとんど無かったりで、結局は「ホームページ作ってみたけど意味なかった」に繋がってしまいます。
なぜ制度や専門用語解説ページは依頼に繋がりにくいのか
なぜ、更新しやすい「何々の制度とは」「何々について」といった制度や専門用語の解説ページは、依頼に繋がりにくいのでしょうか。大きな理由は次の3つです。
- 制度や専門用語の解説ページは、訪問者が内容を確認したら直帰されるから
- Googleなど検索エンジンに「オリジナリティの低いページ」とみなされ評価されないから
- ウェブサイト全体が手引き・ガイドブック的なページだと認識されるから
(1)「あわよくば」では依頼に繋がらない
まず第一に、制度の概要を説明したり、ある専門用語の意味を解説したりするページは、そのページの性質が辞書の一項目のようなものですから、制度や用語の意味を知りたいだけの人が多く訪問することになります。
結果、訪問者は制度や用語の意味が確認できれば目的を達成したことになり、ウェブサイトから離脱します。
この点、「制度や用語を調べた人が、あわよくば事務所に興味を持ってもらって何か依頼してくれればよい」「お任せください、と書いてあるから依頼してくれるだろう」とのスタンスで、制度や用語解説ページを増やされている方も多いかもしれません。
ですが、ウェブサイトが膨大な数に上っている昨今、何か調べている人に「あわよくば」程度でページ内容以外に興味を抱いてもらうのは、残念ながら相当難しい状況です。
あなたの日常生活において何か調べたいことが生じたとき、そうですね、たとえば「サソリって昆虫じゃないよね?甲殻類?何類だっけ?」とか「夏至って何月何日だっけ?もう過ぎたっけ?」と疑問が生じてウェブを検索したとき、その疑問の回答が書かれているページ内容には目を通しても、そのページが公開されているウェブサイトに興味を抱くことはほとんどないはずです。
どこの誰が運営している、何というウェブサイトだったのか。そこまで見る人はまずいません。
(2)そのページならではの情報がなければ意味がない
第二に、制度の説明や専門用語の解説というのは、それがまだ誰もウェブ上で公開していない情報ならともかく、通常は公的機関や競合士業事務所などが既に多くの情報を公開している状況にあります。
そのため、さらに追加で制度や用語の説明ページを追加しても、Google等の検索エンジンは「その話題はもう間に合ってる」「その情報は公的機関のほうが信頼できる」との判断から、オリジナリティの低いものとしてほとんど評価しません。
いくら追加しても、検索結果にさえほとんど表示されずに終わってしまう可能性が高いです。
(3)ウェブサイトに意図しない訪問者ばかりが増える
第三に、これが後々に大きな問題となることが多いのですが、制度の説明や用語解説的なページを充実させていって、訪問者がそこそこ増えてしまった場合、そのウェブサイトは制度の説明や用語解説を行う「ガイドブック」「手引き」的なウェブサイトの性質を強く帯びてしまいます。
そうなると、Google等の検索エンジンもそのウェブサイトを「手引き」として見てきますから、本当に見て欲しいページは別にあるのにそこは重視されず、用語解説等のページばかりが上位表示されることに繋がりかねません。
こうなってしまうと、立派な「訪問者はいるんだけど、全然依頼に繋がらない」「電話やメールがあっても、単なる質問だけで終わってしまう」ウェブサイトのできあがりです。
ウェブサイトの評価がこの方向で固まってしまうと、それを修正していくのは(コンテンツがある程度充実しているからこそ、確固たる「手引き」的なウェブサイトとなっているので)容易ではありません。
これもまた「一生懸命ウェブサイトを更新したけど、ウェブからは依頼になるような話は入ってこない」との誤った結論に至ってしまいます。
ページに一手間加えることで反応率を向上させる
士業事務所でウェブサイトを活用していくためには、上記のような「手引きサイト」になってしまわないために、訪問者に電話やメールなどの反応を起こしてもらいやすいような記事にすること、もっといえばウェブサイトに訪問してくれる層を、反応を起こしてもらいやすい人に変えていく視点を持つ必要があります。
とはいえ、それが大変な手間では業務の合間に記事追加もままなりません。ここでは、できるだけ手間の少ない方法、より具体的には以下2つの改善方法をご紹介します。
1.相談している雰囲気を感じてもらう
一つ目は、単なる制度説明や用語解説ではなく、その記事を通じて士業さんと相談している雰囲気が出るような文章の流れを取り入れるということです。
「何々とは、何々のことである。参照条文は何々法第何条に定めがある。ただし、何々を満たしていない場合、この制度の利用はできない」
など、簡潔すぎる文は情報提供のみにとどまるため、目的を達した訪問者は離脱してしまうこと必死です。仮にそうならなかったとしても、あまりに素っ気ない文章は相談の意欲を削いでしまうためいずれにしてもマズいです。
もし制度の解説的なページを追加する場合でも、
「何々という制度があることは、ご存じでしょうか。これは何々法に定めがあるのですが、条文を読んでも色々なことが難しく書いてあって、ちょっと分かりにくいかもしれません。実際、当事務所でご相談頂く方も、この制度について分かりにくくて困っている方が多いです」
というように、既に直接の相談が始まっているかのような雰囲気を出すこと、また訪問者は制度や用語が分からないから調べているので、分からないこと前提でそれをフォローしてあげる姿勢も出してあげられれば、丁寧な相談の雰囲気をウェブ上で感じてもらえます。
単なる制度・用語解説ではなく、相談している雰囲気を感じ取ってもらうことは、「何々とはなんだろう」という単に調べる目的だけの訪問者の頭の中に、「この問題って、専門家に相談することもできるんだ」という意識を少し付け加えることに繋がります。
ちいさな誘導ですが、こういったウェブサイト訪問者の意識の内容を少しずらしてあげるというのは、ウェブを営業ツールとして活用する上では記事内容に限らずとても重要なポイントです。
2.事例紹介によるオリジナリティの付加
二つ目に、相談している雰囲気を感じてもらうのと合わせて、その制度や用語が関係して問題となる事例の紹介をできるかぎり加えます。
これは士業さんの場合には守秘義務とも関わることなので、あまり具体的に内容を説明することはできません。が、典型的なパターンとして抽象化して事例を紹介してあげること、そしてその事例が解決に至ったことまで触れてあげると、それがページのオリジナリティとなります。
「当事務所では、何々については、たとえば何々という状況では活用が難しいのですが、たとえば何々や何々を満たすことで、解決に至った例があります。」
上記の例は短いですが、こういった事例の紹介こそ、その事務所ならではの情報が含まれている部分であるため、ページのオリジナリティ向上に繋がります。
また事例紹介は同時に、相談してみようか悩んでいる人に「ああ、この事務所は自分と同じような悩みを解決しているんだな」という安心感を抱いてもらえるため、一石二鳥です。
2つを意識することで単なる「手引き」からの脱却を図る
- 記事に相談している雰囲気を出す
- 事例の紹介を加える
ページを追加していくときは、この2つをうまく意識して原稿を書くことによって、単なる「手引き」に陥らないようにしてください。既に公開済みのウェブサイトでも、この2つを意識してページを刷新していくことで、反応率向上に繋がる可能性があります。
競合事務所ウェブサイトが多数存在する状況では、単なる情報提供のみの「手引き」ではなく、ウェブサイト上で接客・フォローまで行える事務所でないと、訪問者の「この事務所(士業さん)に相談しよう」を引き出せません。
大事なのは手引きそのものをウェブ上に構築することではなく(それだったら公的機関のウェブサイトで事足ります)、手引きを前提とした生身の優しい人間である士業さんの分身を、ウェブ上に作り出せるかです。
もしあなたの事務所のウェブサイトが、アクセスは一定程度発生しているものの相談の電話やメールにほとんど繋がらないというときは、
といった外見的な要素の問題点を検討した後で、本ページで紹介したような方向性で記事のリライトを検討してみてください。
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